【2022】アンティークピアノの旅|演奏してみた感想(動画付き)
2022年10月2日、久しぶりとなる石川雅子ミュージックアカデミー主催の遠征イヴェント。
ピアノ講師・生徒さんが向かった先、それは…
埼玉県土呂駅の付近に位置する、アンティークピアノが動態保存された「ナトリピアノ」さん!
オーナーの名取さんとは、数年越しの顔合わせとなる雅子先生。
挨拶も早々に、今回は興味津々な生徒さんからの質問に答える自然な流れで、プログラム開始となりました(笑)
プログラムは以下の通りです。
- シリンダー型ピアノ
- 貸し出しエピソード
- ピアノの元祖・チェンバロ
- 名取裕子さんの演奏
- 講師・生徒の演奏
- 参加者の感想
ちなみに、アンティークピアノについては以下記事で詳しく紹介しています♪
代表・名取孝浩さんの挨拶で、
ここはピアノに疲れた人が来るところでもある
自分の音楽を取り戻すことができ、自分が音を作るものだと気づく場所
ということで、アンティークピアノと共に生きた、含蓄ある言葉に感銘したところからスタートしました。
シリンダー型ピアノ
ナトリピアノ代表・名取孝浩さんより、当時のシリンダー型ピアノ(Jukebox式オルゴール)を実演形式で解説いただきました。
バレル(樽)と呼ばれるシリンダーが入っていて、ゼンマイを巻いてコインを入れると鍵盤、太鼓、シンバルが動き出す仕組み。
写真はフランス製のもので、世界で最初の型になります。
調律の有無について、生徒さんから鋭い質問が挙がりましたが、実は普段仕様ではないとのこと。
『クラムボン』というミュージックバンドのレコーディングで使用するため、あえて特別な調律が施されているよう。
このシリンダー型ピアノが飲み屋などに設置されていて、誰かがコインを入れ、曲を流して踊るというのが当時の主流とのことです。
貸し出しエピソード
動態保存され、試弾させてもらえるアンティークピアノ以外に、カバーが掛けられたピアノが目に入りました。
上の写真(縦に置かれた段ボールに包まれたピアノ)は、NHKクラシックTVで清塚信也さんが演奏されたピアノ。
このピアノは1840年、ショパンが30歳の時に自宅で作曲をしていたものと同じ型。
よく貸し出されるようですが、弾ける状態に戻す準備のため、上記写真のような形で保管されているとのこと。
元の状態に戻すのにも、色んな手間が掛けられているんですね(^^;
ピアノの元祖・チェンバロ
500年ほどの歴史を持ち、ピアノの元祖と呼ばれる「チェンバロ」について解説いただきました。(ピアノの歴史は今から300年ちょっと)
チェンバロは古来中国・西安(シーアン)の「ハンマーダルシマー(以下写真)」が起源とされています。
その後、シルクロードを渡り、ローマに伝来。その後、鍵盤が付けられ「チェンバロ」となり、撥弦楽器というジャンルが誕生しました。
ナトリピアノに保管されているのは、イタリアのチェンバロで箱型タイプのもの。
一方、フランスのチェンバロは二段式で、下から響板が見えるタイプとのこと。
どんなに力を入れても音量は変わらないのも特徴の一つ。
パッと見、黒鍵と白鍵の色が反転されている点を除けば、ピアノとあまり変わらない印象ですね。
ただ、「ピアノより遥かに(値段が)高い!」ということで、とても貴重な楽器なんですね!
雅子先生いわく、チェンバロは「指がキレイに見える」デザインになっているとのこと。
ハロー効果なのか、、指がキレイに見えると全貌まで美しく見えるという説も…。
名取典子さんの演奏
チェンバロは一体どのような音がするのか気になりますよね。
そこで、ナトリピアノで演奏活動もされている名取典子さんより、各ピアノの特色を引き出す選曲で、素晴らしい演奏を披露いただきました。
試弾できるアンティークピアノ
試弾できるアンティークピアノの種類は主に4台あります。
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[2-left title=”チェンバロ” style=”1″]
バッハの曲でピアノのために作られたのは1曲のみとなり、他の曲は全てチェンバロで作曲された模様。
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[2-right title=”グロトリアン” style=”1″]
どこで音を掴んだら良いのか分からず、曲が持っていかれるような感覚。
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[2-left title=”ベヒシュタイン” style=”1″]
どんなに弾いても指が倒れない。
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[2-right title=”スタインウェイ” style=”1″]
由来はドイツ語のシュタイン(石)+ウェイ(路)=石路。
グロドリアンはスタンウェイの面影を残している。
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講師・生徒の演奏
その後、名取さんたちから雅子先生に進行をバトンタッチされ、早速試弾・演奏するプログラムに入ります。
感想は別途お伝えするため、以下では曲目と弾いたピアノの名称をご紹介します。
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[2-left title=”雅子先生” style=”1″]
『愛の夢(リスト)』グロトリアン
『月の光(ドビュッシー)』ベヒシュタイン
『月光 第2楽章(ベートーベン)』チェンバロ
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[2-right title=”RO君” style=”1″]
『月光 第一楽章(ベートーベン)』グロトリアン
『トルコ行進曲(モーツァルト)』スタインウェイ
『幻想即興曲(ショパン)』ベヒシュタイン
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[2-left title=”AKOさん” style=”1″]
『牧歌(ブルグミュラー)』ベヒシュタイン
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[2-right title=”AYOさん” style=”1″]
『アラベスク(ブルグミュラー)』グロトリアン
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[2-left title=”連弾|AKOさん・AYOさん” style=”1″]
『ワルツ(ブラームス)』ベヒシュタイン
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[2-right title=”MKさん” style=”1″]
『ノクターンop9-1(ショパン)』グロトリアン
『ノクターンop9-2(ショパン)』ベヒシュタイン
『幻想曲へ単調 D940 op103(シューベルト)』グロトリアン
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[2-left title=”古家先生” style=”1″]
『楽興の時 第1番(ラフマニノフ)』グロトリアン
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[2-right title=”連弾|雅子先生・古家先生” style=”1″]
『舞踏への勧誘(ウェーバー)』ベヒシュタイン
『星に願いを(リー・ハーライン)』グロトリアン
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[2-left title=”山岸萌さん” style=”1″]
『道化師の朝の歌(ラヴェル)』ベヒシュタイン
『トロイメライ(シューマン)』グロトリアン
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[2-right title=”連弾|デュオ『セコンド・ピアット』” style=”1″]
『スラブ舞曲Op.72-1(ドヴォルザーク)』ベヒシュタイン
『スラブ舞曲Op.72-1(ドヴォルザーク)』グロトリアン
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雅子先生からの一言アドバイス
トロイメライは、出だしの音に乗せて、メロディが後からついてくるようなイメージで。最後はクララ~♪と歌詞が入るような気持ちで奏でる。
参加者の感想
[jin-iconbox06]MKさん
個人的には音が粒立ったベヒシュタインより、「指が動いてくれない」と言われるグロトリアンの方が違和感もなく弾きやすかったです♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]ROくん
ベヒシュタインは音がしっかり出るけれど弾きづらかったり、向いている曲が少ない印象でした。静かに弾く曲ならグロトリアンがマッチしていました。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]雅子先生
ROくんは弾ける曲がいくつもできたから、今日はチャレンジできて良かったです。今日、先生達の曲を聴いたことで、音の世界が広がって勘がついたのかなと思います。ショパンを弾く会でも同様に幻想即興曲の中盤が印象に残り、叙情的な静かな調べが、今回も聴いてて合っているような気がしました♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]AKOさん
茶色のスタインウェイが好きでした♪弾き比べした時にスタインウェイの音が一番合っていて、グロトリアンはちょっと弾きづらかったです。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]雅子先生
スタインウェイはハッキリした音で、化粧した美人を思わせるイメージですよね。現代のピアノに近い感じ。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]MKさん
たぶん、年齢で好みが変わってくる気もします♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]古家先生
年を重ねるにつれ、グロトリアンの方が良く思えてくるかもしれないですね♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]AYOさん
3曲弾いたけれどベヒシュタインがハッキリしていて弾きやすかったです♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]雅子先生
嘘がないピアノね♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]山岸萌さん
正直、ずっとこの場にいたいです(笑)次回はもっとイヴェントに合わせた選曲で臨めたらと思います。あと、個人的に雅子先生のベヒシュタインで演奏された『月の光』が忘れられないです♪[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox08]雅子先生の豆知識01
ドビュッシー自身が「僕の作品はベヒシュタインのためにある」と言ったんですよね。不思議なのが、フランス人はラテン系だけれど寒いの北ドイツ(ベルリン)のピアノを弾くところ。[/jin-iconbox08]
[jin-iconbox08]雅子先生の豆知識02
戦前は首相官邸・日比谷公会堂もベヒシュタインが置かれていたけど、戦勝国となった理由でスタインウェイが実質世界一となったわけ。[/jin-iconbox08]
[jin-iconbox08]雅子先生の豆知識03
リスト生前には、リストのために毎年ベヒシュタイン社がピアノを交換していたよう。[/jin-iconbox08]
雅子先生のエンドレスなピアノ語りに、皆さんの興味スイッチが押され、とても有意義な試弾・演奏会となりました♪
当教室ならではの遠征イヴェント
以上、「アンティークピアノの旅」の様子でした。
今回のナトリピアノさんのように、石川雅子ミュージックアカデミーの音楽体験レッスンでは、教室外での演奏会やミニリサイタルなどが年間スケジュールに組み込まれています。
(通常レッスン後やLINEで都度参加有無を確認いたします)
個人レッスンももちろん大切ですが、普段触れることのない音楽体験を取り入れ、より深みのある演奏へと昇華できる絶好の機会。
人生の豊かさに少しでも繋げられるよう、これからも様々なイヴェントに取り組んでまいります。
もし、当教室のレッスンに興味を持たれましたら、無料体験レッスンからお気軽にご相談ください♪